第24章 第41層~第50層 その1 "Survive"
私は勝手に進み、奴―トーマが勝手について来る
道も真っ直ぐしかない故、何処かで撒くことも出来ない
そんな苛々の中、敵が見えた
私をここまで落としたアリジゴク
それが何体もいる
そして道は、真っ直ぐしかない
ならば取る道は一つ
「じゃあ、本格的に"共闘"と行くか?」
こちらを見ながら言っているのだろう
視線を感じる
だが私は無視して駆け出した
アリジゴクは全て背を向けている
だから完全にこちらが"取った"形になる
軽く跳躍して、目の前のアリジゴクの腹を切り裂く
痛みに戦慄くアリジゴク―周りが漸くこちらを向いた
「邪魔だコルァ!!」
直後、真横にいた個体が吹き飛んだ
邪魔だと言いつつ、笑顔のまま殴り付ける辺り邪魔というのは言葉の綾だろう
続々と集まるアリジゴク
だが目的はあくまで脱出
全部を相手にはしない
故にその次以降の敵は基本的に回避に徹する
「カハ…クハハ…良いぜ良いぜ来いよ!全部潰してやらぁ!!」
対照的にトーマは襲い来る全てを相手取っている
多少のダメージを物ともせず、飛び掛かるアリジゴクを殴っている
このまま向こうが引き受けてくれれば楽に脱出出来る
そう思った矢先―私の真横を敵がきりもみ回転をしながら吹き飛んでいった
「―――っ!」
僅かにズレていたいたから良かったものの、当たれば只では済まない筈だった
飛び方から想像出来る
原因はアイツだ
「ハハハハハ、アハハハハ!!もっとだもっとだ!!」
周りの被害も考えずに、ただただ敵を蹂躙するあの男
お陰でこちらの脱出が阻害される程だった