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SAOGs

第19章 第31層~第40層 その1 "Chase"


意識が戻って最初に感じたのは腹部への衝撃
鋭くめり込む物が無理矢理酸素を押し戻し、私の身体を転がす

素早く立ち上がり、周囲を瞬間的に確認―どうやら森の中のようだ
そして正面にはプレイヤーが一人
身の丈程の剣―しかし、その刀身に歪みを感じる
それを操る金髪の少年―

「ウェンドロ…」

「覚えてたんですか、意外ですね。まぁでも、それなら話が早いや」

それだけ言って剣を振り下ろす
鞘で防ぐものの、一撃の重さを感じる
話が早い―彼の言う事は分かる
彼のやる事は一つ、殺す事だ
そして話す余地など無い

いつかと同じ一対一
さっきの状況から考えて救援は期待出来ない

(自力で逃げるくらいはしないと―)

鞘を押し込んで剣を弾き、後方へ跳躍
距離を取って立て直そう、とした時―

「甘いなあ」

左のこめかみに硬い感触
頭がまた横薙ぎに揺らされ脳がシェイクされるように震える
距離を一気に詰められ、殴られたと実感したのはその直後だった

身体が傾くまま無理矢理剣を振るうもあっさりと回避される

「初めて見た時はもう少しマシでしたよ。だから今でも出せる筈、さぁ早く全力出してください」

逃げる事もままならない
ならば立ち向かうしかない
しかし全力は人間に対しては危険
ならば、今普通で出せる実力で切り抜けるだけだ

今度はこちらから距離を詰める
右手に持った剣を袈裟斬りの如く斜め上から振り下ろす
正直な一撃はあっさりと刃に防がれる
だがそれだけで終わるつもりはない
右足を踏み切り、跳躍―ウェンドロの背後に着地
ブーストをかけた左の拳―彼は素早く右回転、右腕を防御に使う

「良いですね。この前殺し損ねてから貴女は頭痛の種だったんだ…だから殺してスッキリしなきゃ!」

軽く生まれた距離
ニヤついた顔のウェンドロ
もう一度、正面から彼とぶつかりに行く
真横から振った剣を止められるが勢いは止めない

「どけぇ!!」

「貴女が死んだらね!」

双方退かずのベクトルがぶつかり合い、火花を散らしていった
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