第19章 第31層~第40層 その1 "Chase"
追われていた
私達は追われていた
何に?―ボスにだ
三十一層ボスとの壮絶な追いかけっこを私達はしていた
何もそうなりたかった訳ではない
戦闘開始位置がアメリカとかの街中にあるような屋外バスケットボールコートで、更にボスが目の前にいた
戦うには余りにも狭すぎる―という事で場所を移したら、追ってきた
現在も狭い路地を進んでおり、決して良い状況ではない
それどころか数名の犠牲を出している
むしろ状況は悪かった
『スタアァァァァァズ!!!』
辛うじて人間の言語を成したボスの叫びが後ろから響く
私達は走るしかなかった
走りながら後ろに向かっての攻撃など早々出来る訳でもない
少なくとも私達オリジナルセブンの中では、時折完全に後ろを向いて迎撃するエリー
そして、罠の如く周囲の物を破壊してボスにぶつける部長の二人だけだ
直感だけで角を曲がり、暗闇の中を進み続ける
目指す先は遠くに見える僅かな光
アレがその辺にある電灯でないなら、広場の可能性がある
かなりの距離から光が見えた辺り、ただの灯りではない
だから目指そうということだ
そして、その距離は確実に近付いている
だが、それを塞ぐように目の前に現れるは壁
暗い為、いまいち分かり辛かったが間違いなくそこにあるのは煉瓦造りの壁
所謂行き止まりだ―だが、ここで止まれば更に危険な状況に陥る事は明白
故に―
「邪魔すんな!!」
―ブーストをかけた剣撃を連続で放つ
見た目の割には脆かったようで、あっという間に壁は細切れの欠片となり、一気に光が私達の元へ降り注ぐ
一瞬目が眩むが足は止めない
そのまま走ると足に伝わる感触が変わった
それまでの路地―木の板や石畳のような感触から土と芝生に変わる
公園―やっと広い場所に出たらしい