第18章 第21層~第30層 その5 "Hero"
そんなこんなで、私達は「Duologue」の前まで何事も無く辿り着いたのである
ただし、そこで事件が起きた
目的地である筈の「Duologue」の前に小さな人だかり―三、四人だろうか
少し近付いて見たところ、驚くべきか今外にいる三、四人―いや、四人だ―の人物は皆高齢にしか見えなかった
お爺さんと言えそうな人達が何故このゲームにいるのかとか、明らかに押し出されたであろう状態になるのに何があったのかとか、疑問は尽きなかったが、これ以上近付くのは何となく危ない気がしていた
彼等はその場で少し言い合いをした後、立ち去った
一体何があったのだろう
確かめる為に、私達は「Duologue」の扉を開け―
「出てけ老害共!!」
―た瞬間、目に飛び込んだのはガラスのコップ
その軌跡は真っ直ぐで、素早く、唐突故に私は全く対処出来なかった
だが、私の前に素早く飛び出たエリーがコップを見事キャッチ―事なきを得た
「あ、えっと…」
「あ…ゴメン」
エリーがコップをキャッチした事により、向こう―リアナも私達に気付いたようで、若干気まずい雰囲気が漂ったのは否めなかった
その後私達はクリスも交えて先程起きた事を聞く事にした
「あぁ、あの老害共」
そう語るリアナは心底嫌そうだ
どうやら相当な事があったようだ
「別に、纏めればマナーの悪い老害が滅茶苦茶やってたから追い出したってだけなんだけど―」
「凄く楽しそうだったよね、リアナ」
「アレをどう見たら楽しそうに変換されんの」
合わぬ意見にリアナは肩を落としていた