第17章 第21層~第30層 その4 "Combination?"
それから更に数日後―
私達は二十七層ボス戦に参加していた
薄暗い迷宮区、その最奥にいつもの如く大扉があった
二十七―九の倍数であるこの層である以上、ボスの正体はある程度見当が付いていた
タロットの大アルカナをモチーフにしたものだ
先の十八層は"女教皇"
つまり次は"女帝"―会議の前からそういう事は見えていた
その予想は半分合っていた
何が違っていたのか―今回は一体でなく二体
つまり、その次の"皇帝"も敵に含まれている、という事だ
少しずつ開けられる大扉に、二つの絵が描かれている
少し眩しい光の中へ、私達は進んで、進んで―景色が変わる
暗くはない
しかし、水色と白の市松模様のお陰で異様な雰囲気になっている
そして目の前には二つの陰
そのどちらも人間より遥かに巨大だ
片方は花瓶のような見た目、肌色に輝く仮面を着け、杖を手にする敵
現れたHPバーに刻まれた名は"Empress"―
もう一体は縦に細長い見た目、襷を着けた礼装に紫の仮面、剣を手にした敵
刻まれた名は"Emperor"―
この二体が此度のボスであるのは明白
故に一斉に攻撃に出た―その瞬間である
片方―女帝の方が杖を上に掲げた
その杖の先からは眩い光が発したのである
「―っ!」
目の前が真っ白になる程の光
全員がそれをまともに受け、足を止めてしまう
無論私もそうであった
外套に付いているフードが無意味なくらいの光―それは数秒続いた
漸く光が収まり視界が元に戻る
目の前には相変わらず二体のボスがいる
ただ眩しかっただけ―そう感じ、もう一度駆け出そうとした時、私に違和感が走った
周りが動かない―
いや、正確には困惑し、混乱している
恐慌状態寸前という雰囲気
何がどうなっている―そんな私の疑問に答えるかのように、何処からか声が上がった
「どうなってんだよ…何で周りがボスだらけなんだ…!」