第17章 第21層~第30層 その4 "Combination?"
先の洞窟で起きた事―
助けたと思ったらその二人は人殺しだった
結果私達は二人を撃退は出来たものの、ダメージは大きかった
中でも大きなダメージを受けていたのはケンタ
あのジュリという薙刀持ちにこっぴどくやられたらしい
単純なHPはともかく、彼が負った数々の欠損状態を直すのに時間がかかった
故にそれまでは私達は休養を取り、それから次の層―第二十七層へ向かったのだった
先の戦闘以来、ケンタは更なる自主トレに精を出していた
身体が元に戻った次の日から、今までよりもハードなものをやっている
正直な話、身体の調子とかそういうのを見るべきで急にハードな事をやっても駄目だろうと感じたのだが、部長とシンジ先輩に止められてしまった
二人曰く―"倒れそうにならない限りは好きにさせる"、"そういう時が男には必要な時もある"だそうだ
いまいち理屈が読めないが、私は二人に任せざるを得なかった
私は私で、ユリの事を考えていた
今、私の手元には彼女が使っていた短剣の内の一本がある
結果奪った事になるとは言え、返す事も出来ないだろう
会えばまた、殺しに来る―その確信はあった
だが彼女の狂気は、まるでその中にいないと耐えられないという色を感じた
故に、説得の余地があるならそれで辞めさせたいとも考えていた
ともなると、敵は彼女の近くにいるジュリ
そしてユリ自身の狂気だ
その二つをどうにかしない限り―
(届かない、か…)
今のままではどうにもならない
それを示すかのように、握った短剣の刃が光を反射して、私の目に射し込んだ