第15章 第21層~第30層 その2 "Twin"
奥の作業場から規則正しい間隔で、金属の音が響いてくる
音の高さは一定で妙は感じはしない
「何でこんな事始めたかって?」
そんな雰囲気の中、私はリアナに疑問を投げ掛けていた
折角知り合って、共闘までしたのだ
ただの客と店員で終わるのも何か寂しいだろう
「…別に、あの子から目を離さない為には丁度良かったってだけ」
返ってきた答えは相変わらずドライであったが、決して嫌な印象は得なかった
「まぁ、闘いで死ぬなんて私としても御免だし、その意味じゃ勝手に鍛冶にハマったあの子に感謝だけどね」
勝手に―か、と言葉を反芻させる
もしかしたらクリスは闘い以外の生き方をその時点で気付いたのではないだろうか
いや、もしかしたら本当にただハマっただけかもしれない
「やったあぁぁぁぁ!!」
そんな風に考えていると奥の部屋から声が響く
直後、こちらに現れたクリスの目は輝いていた
そして彼女の手には、完成した新たな剣
「はい、どうぞ。綺麗に出来たよ」
そう言って渡された剣は持ち手が白く、刃もまた透明に感じる
また白―何処かでそう思ったが、何となく悪くない気がしていた
そのまま、渡された剣を握る
手から得られる感触に、違和感は無い―むしろ馴染む
試し振りの必要を感じない程、私と剣がマッチしているのを強く感じた
「その様子なら気に入ったって事でしょ?アンタもたまにはやるじゃん、クリス」
「えっへん」
久々に仕事を完遂出来たのか、誇らしげな二人に剣をストレージにしまった私は改めて向き直った
「今回は、ありがとうございました」
「いいのいいの。元はと言えばこの子のせいだから」
それを言うならばここに来た私が原因だろう
そうとも思ったが、私はそれ以上に言いたい事があった
この素敵な出会いが、ここだけで終わらないように―
「もし何もなくても、また来て…良いですか?」
―ほんの少しの願い
それを聞いた二人は、双子でありながら各々の笑顔を浮かべた
「別に毎回何かしろって訳じゃないし」
「いつでも遊びに来てね!」
「まぁ、そういう訳で―」
「―これからも、『Duologue』を宜しくお願いします!!」