第15章 第21層~第30層 その2 "Twin"
クリスは片手槌目掛けて踵落とし―更に攻撃をめり込ませる
そのままクリスは片手槌を手に後ろへ
リアナは刺さった二本の剣を引き抜き、前へ
二人の位置が交わり、交差し、入れ替わり―
「はあぁぁぁぁ!!」
「たあぁぁぁぁ!!」
―同時に巨人の頭から重力任せに攻撃を撃ち込んだ
頭から真っ直ぐに降りた二人の攻撃は、二人の着地と同時に二体の巨人を真っ二つにし、砕け散らせた
「やったねリアナ!勝ったよリアナ!」
「あぁはいはい、分かった分かった」
敵が砕け散った後、跳び跳ねて喜ぶクリスとドライ目に受け流すリアナ
二人の協力もあり、一先ず私達の目的は果たされた
「だけどクリス、分かってるでしょ?」
「うん、大丈夫!一杯素材も手に入ったし、今度は失敗しないって」
彼女らの言う通り、彼女らの目的はむしろここから始まったと言って良い
しかしまずは一つ達成―その感慨を胸に、凱旋したって良いだろう
第十二層―
その中心となる街の外れ
良く言えば慎ましい、悪く言えば貧しい見た目の店―「Duologue」
その中の更に奥のスペースである作業場―そこにクリスは一人でいた
先の戦闘までに様々な素材を手に入れたが、彼女は一つ以外使うつもりはなかった
『目玉の結晶』と名付けられた素材―先の戦闘で手に入れた物だが、彼女はこれが現状持っている中では最も良いものだと感じていた
鍛冶で使う槌を手にし、素材と向き合う
今度ばかりは失敗出来ない―そういう状況の筈なのだが、彼女に緊張の色はなかった
今回の出会い、その先にあった事を思い出せば、笑みは零れど緊張するという事はない
(だから、大丈夫―)
素敵な出会い―そういうものだとクリスは感じながら、静かに槌を振り下ろした