第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
微妙な空気を破ったシンジ先輩の溜め息―一気に視線が彼に集まる
「金を貯めるだけ貯めてみる…まぁ、スタンスは悪くはないしやる事は基本変わらんが、全員の苦労が必要だな」
やる事は基本変わらないが、その分量が著しく増える
そういう覚悟が出来るか―と問い掛けているような視線
「やれるさ、俺達七人ならな」
その視線に返答したのは部長だった
互いの視線が真っ直ぐ交わる
一体その中に、互いがどんな気を乗せているかは分からない―が、無言故に多くの意志があるというような無言だった
ややあって、シンジ先輩がもう一度溜め息を吐いた
「…やってみるか。金集めだけなら、後々応用が利きそうだしな」
折れた、のか?
しかし今、「やってみる」とシンジ先輩は言っていた
という事は―拠点の為の金集めをやる、のだろう
「とまぁシンジは言ってる訳だけど、ユウとエリーも納得してくれるかな?」
今ので部長はシンジ先輩の意志を理解したらしい
ユウとエリーの方へ向き、確認を取る
先に口を開いたのはユウだった
「良いですよ。この世界でも資金集めは何をする上でも重要ですし…ここで反対すると、何処かの誰かが五月蝿いんで」
「あ゛ん?」
言われながら視線を向けられた何処かの誰か―ミヤが若干声を荒げるがユウは気にもせず続ける
「まぁともかく、ロマンを求めるのも悪くないんで、やれるだけやってみましょう」
「買えなくても、億万長者まっしぐら」
どうやらエリーも納得したようだ
全員の納得が聞けた部長は、改めて口を開く
「皆ありがとう。早速明日から、報酬額の高いクエストとかを中心に回す事になる。目標は、安めの建物を拠点にする事。それじゃ、頑張ろう」
こうして私達は、拠点というロマンを求めてこの世界を進む事とした