第14章 第21層~第30層 その1 "Trap"
先程足と思っていたのは腕
間にあったのは頭
玉を囲んでいた三本の突起は足だったという訳だ
しかし敵のHPバーが出る前から殺しにかかるとは…
驚愕と恐怖がまだ消えないが、立ち向かわなければならない
震えたままならば次に死ぬのは自分だ
ボスが二本の前足を上げると同時にこちらも気勢を上げて、ボスへ向かう
ボスの足は地面を揺らし、私達の足を揺らす
立ち込める土煙
上方に影を感じ、僅かに後退
直前の位置に腕が降り下ろされ、更に振動と土煙を立たせる
だがこちらも何もしない訳ではない
数名のプレイヤーが降り下ろされた腕を伝って頭を目指す
しかし、それは逆に腕を振り上げられ失敗
まだチャンスはあるが、先の触手の記憶が付いて回る
ボスはもう一度前足を上げたが、今度はそれをゆったり下ろした
代わりにボスは体表の色を緑へと変化させた
何が起こるかという疑問はすぐに答えを出した
ボスの両腕、その端の部分から黄色の球体が発生したのである
黄色であるが透明で、一昔前に流行った触ると手の周りに電気のようなものがまとわりつく玉のような見た目だ
だがそれは歴とした攻撃―下投げをするような動作で放たれた
触れれば感電は免れないだろう
明らかに電気という見た目の弾丸は一目で分かる程に遅い
これならば避けるのも容易い―とはいかなかった
弾丸は放たれた直後、二つ三つと分裂
更に我々プレイヤー陣を追尾
しっかりと弾丸一つ一つを捉えなければ進めなかった