第13章 第11層~第20層 その5 "進撃"
扉を越えた私達の瞳にまず入ったものは曇り空だった
いつ雨が降ってもおかしくない―そういう空
だが私達の足元は、対照的に緑一色―芝生に覆われていた
そして私達の正面
そこにあるものに私達は驚愕せざるを得なかった
白一色に塗られた建築物
しかし、私達からしてみればテレビの中にしか見た事がないもの
アメリカ合衆国大統領が居住し、執務を行う官邸―ホワイトハウスである
「良いのかよ、ここ使って…」
ボヤくケンタの声を耳に入れながら、私は思考していた―これは先のヒントとどんな関係がある?
ヒントに描かれていたのはどう見てもアレをホイホイするやつだ
しかし目の前にはホワイトハウス
まさか私達がホイホイされるとでも言うのだろうか
(まさか、なんて言い切れないけど…)
そんな可能性ももしかしたら―などと考えていると、空中に影が見えた
何だろうか―鳥か?飛行機か?
(違う…アレは…!)
私が"それ"の正体に気付いたと同時に、それはホワイトハウスの屋上に、派手に着地した
『クククク…ハハハハハ!!』
低い笑い声と共に煙の中から姿を見せたのは―紫色、他のと色が違う、羽を開いたスクラッグ
『我が名はゴゴール!スクラッグの帝王にして、全宇宙の支配者である!!』
わざわざ名乗ってくれると同時にHPバー、そして"Gogorr"という表記が現れた