第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
どれだけ進めば良いのか
既に十五両は越えて、二十両に差し掛かろうとしている
通常より明らかに太い車両は同時に通常より明らかに長かった
故にまだボスの姿を見る事は叶っていない
だが、変化は確実に感じられた
寒くなっている
空気の温度が低くなっているのを、肌で感じる
つまり、近い―ボスはもうすぐだ
そう思った矢先、二十四両目から二十五両目になろうかという時である
足元が―滑った
「わ、わ!」
私は咄嗟に吊革に掴まりながら、後ろからの声に振り向く
余りにも唐突な変化―それにミヤが足を滑らせ尻餅をついていた
足元に何が?―と見た先には氷
ここから先の床全てが凍っていた
ユウがミヤを立たせている間に周りを改めて見る
結構な人数がここで立ち往生している
それもそうだ、唐突にスケート紛いの事をしろとでも言われているのだから
私は当然、大半のプレイヤーにそんな経験は無いだろう
事実私も吊革に掴まっていなければ、転んでいる
上手く動けない―だから、皆先に進めない
「ん、出来た」
唯一、エリーを除いては
既にエリーは氷上を自由に滑っている
流石というべきであろうか、エリーの才能に脱帽せざるを得ない
「エリー」
部長の声
視線を動かすと部長は槍を氷に刺して立っていた
「済まないが、危険にならない程度に先行してくれ。俺達も、すぐに追い付く」
「了解」
そう言ってエリーは器用に滑り出し、立ち往生している先へと向かった
私達も早い事この状況を打開しなければならない
その為のもがきを始めるのだった