第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
「リリィだって頑張ってる。生きよう生きようって、多分俺達の中で誰よりも思ってるんじゃないか?だから、一番最初に一番危ない所に行く時もあるし、伸ばした手が誰かに届く時もある」
「ん、ちゃんと届いてる」
珍しくハッキリと言ってくる私の事
部長とエリーという二方向から、余り言われた事を言われた
こんな事、私の人生じゃあんまりない
「いや…私こういう時何もしてないですし…」
妙な照れ臭さというか、私には分不相応に感じる言葉に思わず出た私の言葉
部長はそれにも動じず続けた
「別に皆がサブで何か出来なきゃ駄目って訳じゃない。俺なんて、陰から皆を見てるしかないしな…仮に今は何もなくとも、ちゃんと生きてれば何か見つかるさ」
論破ではない
しかし、この妙に言い返せない感じ
「……見つかるでしょうか」
漸く紡ぎ出せた言葉は、小さく呟く様な言葉だった
「この世界だけじゃない、俺達には現実だってある…生きてる限り、見つけられる可能性に満ちてる。そういう意味じゃ、ここっていう二つ目の世界は可能性の天国かもな」
天国と地獄
やはりまるで現実と変わりない
生きる事も死ぬ事も、戦う事も戦わない事も、ちょっとの差があるくらいでやはり変わらない
天国も地獄も、そこにあるのなら―
「じゃあ…私、探してみます。私のやれる事。私の、道みたいな…そういう、何かを」
―私は、進む
多分、戦うなんていつでも辞められるし辞めていい
だけど、天国とか地獄とか関係無しに"終わりたくない"って願った私の願いを終わりにしたくない
その先に、私のやれる事があるかもしれないから
部長は「そうか」と言いながら立ち上がり、部屋のドアへ向かった
「明日から攻略を再開しよう。その先に何があるか、この目で確かめないとな。それじゃ」
「あ…はい!」
それを最後に部長は部屋を出た