第12章 第11層~第20層 その4 "Search"
先日の事件以降、私達は休養を取っていた
部長がたまには休む事も大切だ、と言って数日間攻略には出ない事にしたのである
とは言うものの、私は何となく察している―原因は先日の事件だろうと
クエストボスにより、偶然私一人という状況になった所で、彼―ウェンドロが私を殺そうと襲いかかってきた
急にそれを実行した事もあり、私もかなりのダメージを負った
(あれは…悪意だ)
宿屋の部屋のベッドに仰向けになりながら改めて思う
今までの人生で悪意ある行為に晒された事もあるが、あんなものは初めてだ
人を、殺そうとする悪意は
考えてみれば、PK―つまり殺人の意思は何時、何処で自分に向けられるか分からない
その件数が徐々に増えているが、それはこの世界が閉ざされた世界故に表面化しやすいというだけの話
やはり人のする事―現実と変わらないではないか
そこまで思って溜め息を吐く
止めよう、一々悪い事を考えると気分まで悪くなる
(今は、生きてるんだから―)
そう思おうとしたが、私の記憶はそうはさせてくれなかった
不意によぎるあの顔―トンファー男
事実として、彼が来なければ更に危険であった
尤も、彼に向ける感謝の念はこれっぽっちもないのだが
結局彼が私を助けたのも、いずれ来るであろう私を殺す時の為であり、所謂正義感とかそういう類では一切無い
それをまるで隠そうとしない辺り分かりやすいのだが、それ故根深い問題となりそうだ