第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
十五層―
ツモマトという名の街を中心に据えたこの層のフィールドは、未来都市でありながら廃都市であった
しかし、街そのものは静かな煉瓦作りであり、決して静かではないが、穏やかな雰囲気を出していた
二桁の層に入り、NPCの商店の品揃えも増えて来ている
そして最近になって増えているのは、プレイヤーが自ら店を出す事である
始めは鍛冶スキルを用いた、所謂鍛冶屋
そこから徐々に増え始め、物を売り買いする者、それに伴ってアイテムの鑑定を行う者、食事を提供する者等々…様々なプレイヤーが現れてきたのである
ただ、私達オリジナルセブン内には、商売をしようという者はおらず、PKを警戒しながら、クリアを目指してフィールドへ繰り出す日々が続いていた
そういう訳で、私達は今もフィールドにいる
目的は、アスタークと名の付いたモンスターを三体倒す事―それによりクリアされるクエストに挑んでいる
このモンスター、フィールド内の何処かを渡り歩いているらしい
既に一体は倒したが、その後は中々出会えず、私達も放浪を続けている
出来れば一体ずつで…という淡い願いを抱え、廃都市の大分奥まった部分を歩いている時―
「うわあぁぁぁぁぁ!!」
―何処からか悲鳴が聞こえてきたのである