第11章 第11層~第20層 その3 "事案"
第十四層―
ボードという名の街を中心に据えたこの層は、低い草が生い茂る中に遺跡がフィールドとして存在している
街はまるで農場、フィールドは遺跡と毛色の違いが目立つ層であるが、私達の関心事は違う所にあった
それはプレイヤーキル―通称PKの事である
人が人を殺すという所業が増えだしたのだ
何かの事故か、それとも何かの意図があったのか―理由は分からない
理由は分からないが、人が死んでいる
誰もが、次は自分…となる事を避けようと、プレイヤー達の間に、疑念が少しずつ渦巻いていた
しかし、その疑念で足を止める訳にはいかない
周りの人が、仮に殺人者で敵だとしても、ボスを倒して先に進み、クリアを目指さなくてはならない
それ故私達は、また強まった警戒心の中、ボス戦へ向かうのであった
十四層ボス―
その部屋へ入る扉にはまたヒントが描かれている
スペード、ダイヤ、クローバー、ハートが四隅に描かれており、それらの中央に大きく「14」と描かれている
一目見て、何の事だろうかと考えを巡らす
スペード、ダイヤ、クローバー、そしてハート―一般的に考えてこの四種が揃う場合は、トランプの柄を示しているのだろうと考える事が出来る
だがそれなら、中央の「14」は何なのだろうか
トランプでは各柄には13枚のカードが存在している
だから、14枚目のカードとなると―ジョーカー、なのだろうか
それとも別の意味が?
いや、その辺りは出会ってから考えようと、考えを頭の片隅に追いやる
(今は、頭脳以上に身体の直感が必要だ…)
そう改めて思い、息を整え―皆と共に、開いた扉へ足を進めるのであった