第10章 第11層~第20層 その2 "Duet"
握り締めた互いの手―共に暖かみがあり、それだけでも力を感じさせる
いや、負ける気はしないと二人は捉えていた
何故かもう一度、互いの視線が交わる
互いが互いを認める強い眼差し―それが交わり、互いに頷く
それを機に、二人の手は離れ、それぞれの武器を代わりに持ち始める
先程まで共有した暖かみを忘れぬよう、息を整え―二人は、同時に駆け出した
同時に駆け出した二人は同じ歩幅、対称の足で駆け、同じタイミングで跳躍―敵に並び立とうと言うが如く、二つの影を作る
見上げる敵に二人は、それぞれ正面にいる方に踵を落とす
同時に落とされたそれをまともに受けた敵は、全く同じ窪み方を見せ、身体をそれぞれ仰け反らせる
二人は直後に、下からそれぞれの武器で掬い上げる様に、めり込ませる
そして互いが向き合うように、それが振り付けであるかのようにターン―立ち位置を直前と逆にして、正面を蹴り込む
ガードも儘ならない敵は二体共、後ろに滑るがそれを逃さぬとばかりに二人はすぐに駆ける
真っ直ぐに進んで、もう一度跳躍―顔と思しき部分に同時に拳を上から叩き込み、今度は互いの背中を合わせて―ターン
めり込ませた互いの武器を引き抜く
このまま順調に―という訳にはいかない
こちらがコンビならば、敵もコンビ―同時に仮面の様な顔の目の部分が光る
超至近距離での熱線―コンクリートが吹き飛び、身体が焼け付くであろうそれの、突然の襲撃にも、二人は息を崩さなかった
敵の目が光る瞬間に二人は、同時に後方倒立回転跳び―通称、バック転で回避する
敵も躍起になったのか、更に熱線を撃ち込むが、二人はタイミング良く二回、三回、四回とバック転で回避―一度撃ち止めになるまでバック転をし続けた