第3章 第1層~第10層 その2 "Game Start"
結局その日は、始まりの街にある宿屋で部屋を取った
中央広場での暴動紛いの事案は、藤井氏の宣言した通りの通信障害で収束
結局、誰も藤井氏の用意した舞台設定に逆らう事は出来なかった
私も…その一人であり、今は宿屋の部屋で横になるしかなかった
それでも身体は休息していると感じている限り、まだ私は正常なのだろう
翌日―
余り寝たという感覚はない
しかし目を開けても、自分の部屋に戻る事はなく、私の姿はいつもの白い姿なだけだった
憂鬱には思わないが気分は重い
足取りも少し重いが、動かない訳にはいかない
外に射し込む日は、ゲームだからこそ私に対して影響を与える事はない
だが何となく嫌だったので、手で顔を覆う
「やあ、日は大丈夫か?」
部長だ
朝日を正面から受けている故に、何だか光に消えそうな印象が見える
そんな事を考えるのも昨日の今日だからだろう
「ゲーム中なんで、多分肉体は大丈夫です…普段が普段なんで、ちょっと嫌ですけど」
嫌な考えを振り払って答える
まだ…まだ何も起こってないから
「結局、あんまり寝れなかったよ」
「私も…っていうか、皆そうだと思いますよ」
それでも休んだ効果はあったようで、昨日の顔よりかは幾分かマシになっていた