第10章 第11層~第20層 その2 "Duet"
十二層―
ニューデイズという名前の街を中心にしたこの層は綺麗な緑―自然に溢れていた
先日、ギルド作成クエストに向かい、無事"オリジナルセブン"というギルドを作成した私達は、十一層のボス戦には参加しなかった
ボス戦の不参加は私達としては初めてである
しかし、そうだからといって妙に焦ったりだとかはしなかった
元々生き残る事を目的としているから、基本的には無茶はしない
ボス戦に至っても、私達は七人と少数だし、私達がいなければ等という妙な傲慢は無いつもりだ
事実、十一層のボスは私達の知らぬ間に倒されている
まぁ何というか、一度休んだ事で気持ちに余裕が出来たという言葉の感覚に似ている
しかしながら、生き残るのに全力を出すという私達の方針故に、出来る限りクリアに貢献しようという訳で―私達はまた、ボス戦に身を置いているのだ
第十二層ボス―アダーナ・デガーナ
薄暗い寺院のような場所で戦うこのボスは、機械であった
銀を基調としたそれは完全にロボット兵器である
鞭、キャノン砲をそれぞれ搭載した巨大な二本のアームをメインに時折ミサイルも降らせて来るボスに対して、最早ボスが我々プレイヤーのルールから逸脱した存在だと改めて認識させられる
だが、如何にプレイヤーのルールから外れた存在だろうと倒せない訳ではない
誰もがそう信じて戦っているし、そうなのだろうと思える事象が私達の目の前で起きている
私達のよく知るソロプレイヤー、ジン
何処で部隊と合流したのか、突如として現れた彼により、戦況は一気にこちらに傾いた
彼はボスのターゲットを取り続けるという本来ならリスキーな真似をしているが、一度もボスの攻撃に当たっていない
それでいながら、身の丈程もある両手剣を片手で軽々振り回し、ボスにダメージを与えている
また彼は周りにやって来るプレイヤー達との連携も即興ながらこなしており、それもまた優位な現状の理由の一つであった