第9章 第11層~第20層 その1 "Original"
直後、全くの死角から糸が敵の腕に巻き付く
エリーのチャクラムだ
しかし何処から?
一瞬の間の後、その答えが明かされる
敵の背中側から真っ直ぐに飛ぶ、幾つもの矢
それら全てが敵の背中に命中し、敵が怯む
同時に、木を蹴って敵の前に躍り出るエリー
腕が復活したって彼女は、明らかに敵の頭を狙って弓を構えるも、敵はケンタとユウ―二人を弾いてから蹴り飛ばし、その上でもう一度チャクラムを引っ張ったのである
「っ!!」
本来不必要な力の加わりにエリーは一瞬引っ張られるが、今度は前のようにいかなかった
引っ張られた力を利用し、近くの木に到着―そしてもう一度木を蹴り、敵に向かって飛びながら、矢を放ったのである
その姿はさながらボス戦の時のようで、その本気具合が見てとれる
だが、敵も負けてはいなかった
今度はチャクラムの糸を両手で引っ張る
流石のエリーも、これには身体を持っていかれるが、それだけでエリーは終わらなかった
引っ張られた勢いをまた利用して空中での前方宙返り、そして―
「っお゙!!」
むしろ敵に蹴りを決める体勢を取ったのである
彼女にしては珍しく、ブーストスキルを使う念入り具合
まさに必殺技の如く、光を纏った足が敵に迫る
それと同時に―
「そんくらい読めてる!!」
木陰からミヤが飛び出す
既にブーストスキルも、武器スキルもかかった一撃を決めようと、敵に向かって一直線で走る
二方向からの必殺の勢い―だが、敵はそれにすら焦る様子は無く…剣でエリーの蹴りを抑えたのである
そのまま敵は剣でエリーをミヤへ投げ飛ばし、二人はもみくちゃになって転がっていく
『ゴン ヂバサ パボグヅバゲ』
また訳の分からない音を発したと思うと、敵の足に電気が集中していく
まさか―と思った時、予想通りの真似を敵はした
二人に向かって走り、直前で跳躍、片足を出した上空からのキックを、二人に放ったのである