第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
「……は?」
思わず阿呆らしい声を上げてしまう
釣る?ボスを?
「…どうやるんだい、ケン?」
「釣竿」
誰もが抱く疑問を代弁するかのように問われたユウの問いに胸を張って即答するケンタ
どうでも良いが、何故そんなに誇らしげなんだろうか
「って言ってもアンタの釣りってダメダメじゃなかった?」
「ん。これまでの成績、0匹」
ケンタの張った胸に射かけるようにミヤとエリーがツッコミを入れていく
ケンタの方から何か刺さるような音が聞こえた気がしたが、多分事実だろう
「大体コレボス戦だぞ。そんな遊びみたいな手段が通じるか」
シンジ先輩の更なる追撃により、ケンタが肩を落とした
いやまぁ…流石にアレを釣るってのはやはり難しいんじゃ…
「いや、いけるかもしれない」
遂にケンタがあの"orz"と形容される四つん這い状態になるかという時、部長が静かに口を開いた
いける…と言ったがどういう事だろうか
「皆、ヒントを思い出してみよう」
部長の言に従い、このボスへのヒントを思い出して見る
海に浮かぶ船―ステージの事だ
イルカ―ボスが水上へ上がる、そして改めて考えてみると、超音波を使うという事を暗示していたのかもしれない
まだあった筈…そうだまだあった
釣り人の絵があった
「そうだ。釣り人の絵があるって事は頑張れば釣れるって事の証なんじゃないか?もしそうなら、ケンタの案も強ち間違いじゃない」
一応ヒントの絵はヒントとなっている
情報にない事もやってくるが、絵に書かれた事は大体全部正しい
少なくとも今までは全て当てはまった
という事は…釣れる?