第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
第八層ボスを倒した後、ジンはまた一人で先へ行ってしまった
あくまで彼はそういうやり方を選ぶ、という事だろうか
しかしシンジ先輩によれば、次も生きて会うつもりらしい
まぁ彼のキャラの濃さはともかく、彼はまだ良い人だ
それ故、何故一人なのか気になる所ではあるが
しかし少なくともあのトンファー男よりかはマシだ
もし次に会ったなら、また協力しても良いかもしれない
そんな感覚を抱きながら第九層へ進んだ
第九層―
中心となる街、イワトは新興の雰囲気溢れる街だった
街の端から端まで、モノレールが通っており広い街の移動には非常に楽である
モノレールの車窓からは海と綺麗に造られた街並みを拝む事が出来る
また商業施設も充実しており、先の第八層の反動もあってか久々に楽な気分になれる層であった
しかし、フィールドまでそうとはならなかった
第九層フィールドは街とは違い、常時夜―まぁ、私としては行動しやすいが
更に最終的に入る塔のエリアは迷宮区もかくや、という程の迷路でありプレイヤー達を惑わせた
敵も徐々に強くなり、探索の面倒さもあいまって非常に疲れるものであった
また、この塔エリア全体を非常に強力なネームドが徘徊している
死神の姿にも見えるこれはエフェクトなのか、禍々しいオーラを視覚的に捉える事が出来る
最大の問題は、このネームドにより死亡者が出ているという事
ボスではなくフィールドで死ぬ
より死が近くなった事から、明日は我が身と恐怖するプレイヤーも少なくなかったが、それでも進まなくてはならない
それが生き残る道なのだからと、自分達に言い聞かせて今もまた、死地に身を置くのであった