第7章 第1層~第10層 その6 "Once More"
箱の終点にはベランダのようにスペースがあり、その先に崖―そして先に進んだ面子がいる
なるほどあそこに着けばとりあえず勝ち、という事か
後ろからはボスが今だしつこく来ている
ここでギリギリまで迎撃するか?―と構える私をシンジ先輩が止める
「ここは、俺達に任せろ。そうだろ?」
そう言うシンジ先輩に並ぶ両手剣男
「あぁ、そうだとも」
二人でギリギリまで抑えるつもりだろうか、正直危険だ
だがこの二人、全く有無を言わせぬ雰囲気で私とエリーの前に立った
「…行くよ」
袖を引っ張り見つめてくるエリー
しかし、ここで二人を残すなんて―
「心配すんな。俺はキョウヤとの約束を違えるつもりはない。だからな…行け!!」
「……はい」
納得出来た訳では無い
しかし、それしかない…そう自分に言い聞かせて、エリーに続いて崖へ飛ぶ
ギリギリという程ではないが、飛び移るには少々酷な空間を越え転がるように土によって構成された地面に辿り着く
自分が漸く正しい地面に辿り着いたという事を感じる暇も無いまま、改めて箱の方を見ると、ボスと対峙する二つの影がまだ残っていた