第7章 第1層~第10層 その6 "Once More"
そして私は今、ミヤと共に戦っている
倒すべき数は減っているが、それでも油断は出来ない
今もまた、右から来た敵の爪を剣で抑え、腹に向かって蹴りを入れる
反動を使って短い跳躍―左から来た敵の頭上を越え背中へ回る
着地と同時に反転、武器スキルと共に飛び越えた奴の背中を斬る
それでまた一体砕け散る、同時に先の一体にミヤが後ろから逆手持ちした短剣を敵の頭部に刺し、砕き散らした
とりあえず、このハンターという敵は斬ってもスプラッタな事態にはならない
それが少しだけ、救いだった
背中合わせになる私とミヤ
周りにはまだ敵がいる
お互い息は荒いが、まだいける
「リィちゃん、今何体目?」
「さぁ?ちゃんと倒してない方が多いから分かんない」
「私もそう。一杯倒した気もするし、全く倒してない気もする」
敵がジリジリと包囲を狭める中であっても、まだ会話の余裕がある
随分と戦いを楽観しているようにも見えるが、少しは私達もマシになったのだろう
「ほ~れそれじゃあ…まだまだ一杯、倒しますか!」
そう言ってミヤが私の背中から離れる
彼女と同時に彼女の側にいた敵が走り出す
それを彼女は逆手に持った短剣で右からの最初の一体を流し、一回転
この回転の間に短剣を左手に持ち替え、正面の個体の顔に値する位置に突き刺して押し通る
そのまま彼女は、敵が蠢く影の中に潜っていった