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SAOGs

第6章 第1層~第10層 その5 "天才"


次のビルに飛び込んだエリーは更に次の移動先を決めている
ここからが本番―最初の二撃は単にボスの反応を確かめただけ
それで今彼女は生きている、無傷でだ
本気を出し続ける、という疲労は溜まるがそれまでに決着を着ければ何も問題ない

(そうすれば…リリィは大丈夫。もう…あんな事にはさせない)

何と言われようと、これこそが彼女の決意
故に、彼女はそれを貫く



深呼吸し、再度弓を構える
先の二撃よりも、一度に放つ数を増やした矢―その数、三本等では済まない
五本指全てを使い、限界まで持った矢
それら全てが光を纏い、直後高速で放たれた

同時に先程と同じようにガラスを突き破って、空中に飛び出す
チャクラムを隣のビルの高層に引っかけ、重力を一部、克服する
またも、先程いたビルにビームが放たれ火を吹くが、今度は移動だけでは済まさない
振り子の軌道で動きながら更に連続で矢を放つ
その全てが武器スキル、そしてブーストスキルのかかった矢であり、ビーム発射によるタイムラグ等の隙を撃たれるボスは本戦闘において初のダメージを負うのであった

勿論、その程度で満足はしない
着点予定地である壁を蹴り、身体を上に向かわせる
同時にもう一度チャクラムを射出―今度は屋上へ向かい、塀を前方宙返りで楽々越える
足が床に着いたと同時に走り、そして撃つ撃つ撃つ―

正八面体がゆっくりとこちらを向き、破壊の光を収束させている
流石に無意味な乱発はせず、しっかりとターゲットを狙うつもりのようだ
それで良い―少なくとも今のままなら…今のままなら当たらない、その自信が彼女にはある
事実彼女はこの瞬間に更に数発の矢を放ち、命中させ、ダメージとし、反撃を回避しているのだから

徐々にビル伝いも分かって来た
距離の近いビルにはチャクラムを使わず、力を少し込めるだけで届く―ブーストスキルも必要無い
勿論空中でも断続的に矢を放つ

彼女はこのままボスの周りを周回―四方八方から矢を射かける事で、ボスを針の筵にしてやるつもりであった
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