第6章 第1層~第10層 その5 "天才"
シモン達は私達七人と別れた後、どうやらボス部屋を発見したらしい
数日後、改めて対策会議が開かれ勿論私達も参加したのだが…実の所私達も含め、参加の意を表明した全てのプレイヤーはこう感じていた―一体何にどんな対策を立てるのか
第一層より頼みとなっていたネリーの情報は既に無く、現在の彼女は各プレイヤー、もしくは各勢力とパイプを持ちつつ素早く最新の情報を広める役となっていた
故にこの層からの会議は試作版でのボス能力、ステージギミック等の確認は出来ない
一応それ以外にも班を決める必要がある為、集まる必要はあるのだが…逆にそれ以外何があるのか、何を言うのか不明であった
だからこそ、今回の会議で前に立つシモンが何を言うのか―皆、気にしている所であった
「皆、集まってくれてありがとう。早速始めようと思う……正直、この層から何を言えば良いか俺も分からなかった。何も情報は無かったからな。でも、一つだけ見つけたんだ。ボス部屋への大扉、アレが少し変わってたんだ」
そう言いながらシモンが取り出した羊皮紙に注目が集まる
これまでの層には無かった変化…何なのだろうか
広げられた羊皮紙に描かれていたのは絵だった
澄んだ空の元に広がるビルと思しき建物が多量―そして、中央に黒く縁取られた…菱形
「この絵が描かれてたんだ。これが何を意味するのか、この層のボスに挑まない限り確かな事は言えない。でも、これがボスへのヒントになるかもしれない。今はこれを…信じてくれ」
シモンの強さを持った目が私達、参加プレイヤー達に真っ直ぐ向けられる
なるほど彼の仲間はこれに着いて行ってるのか
そう感じながら私達は頷いていた