第6章 第1層~第10層 その5 "天才"
巣に引っ掛かっていた四人が解放されたのを目にする
苦労したが…漸くクリアか…
いやに疲れた
最早どうしようもないとは言え、全く何も知らないまま今回みたいになるのは辛い
シモン達が来なければどうなっていたか…
「皆無事…みたいだな、良かった…」
ゴーグルを目から外し、頭に上げながらシモンは胸を撫で下ろしている
いつかの暗い面影はもう無い
随分と頼もしさ、のようなものを身に付けた顔だ
「ありがとう、助かったよ」
巣から解放された部長がシモンと握手をしている
「俺も第二層の時には助けてもらったからな、その恩返しってやつさ」
爽やかに返すシモンの奥から、先の男女が現れる
一仕事終えたが、本懐ではない…という顔だ
「シモン、どうやらここも違うらしい」
「迷宮区まではまだまだ先が長そうね」
先程の戦闘に参加した二人―結構な実力だったが…
「紹介するよ。キタンにヨーコ、二人とも最近仲間になったんだ」
また仲間が増えたらしい
どうやら彼の勢力も順調に力を増しているようだ
「今俺達は、迷宮区…まぁボス部屋の位置だな、それを探してるんだけど…中々見つからなくってな」
迷宮区のボス部屋探し…
力を持っているからこそ、彼等は先端を開きに行こうという訳か
大した気概だ
その後彼等は迷宮区及びボス部屋の探索に向かう為、私達の元から去った
残念ながら私達は彼等の求める情報は持っていない故、今回協力は出来なかった
この恩はいつか返そう―その時道が交われば…だが…
何はともあれ私達は目的を達したので、一度街に戻り、休養を取る事にしたのである