第6章 第1層~第10層 その5 "天才"
直後、雄型が上に持ち上がり、空中へ飛ばされていた
蜘蛛型の身体の下に僅かに見えるのは―ドリル
まさか…彼は…
「シモン…」
三層ボス戦にて劇的な復活を果たし、今はセガールと並ぶ二大巨頭
ドリルの性質を活かし、地面から現れた彼はその勢いのまま雄型を天井に撃ち当てた
「頼むぞキタン、ヨーコ!」
空中の彼が発した声に答えるように私達の後ろから、幾撃もの矢が降り注ぐ
それは乱雑に見えてキッチリと敵だけに当てていた
「まだまだ!」
直後、影から飛び出した人―設定を変えたのだろう赤い髪をポニーテールに纏め、両手にボウガンを一挺ずつ持つ少女、そして黒い服装、金に染めた髪を逆立て、突撃槍を持つ男が敵に駆ける
「行くぜオラ!遅れんなよ!!」
「遅れないわよ!!」
駆けながら少女は両手にある二挺のボウガンを雌型、そして純蜘蛛型に放つ
それは複数放たれているのに正確で…何て器用さだろうかと舌を巻いてしまう
単に射撃ならエリーに値する…もしかしたら上かもしれない
男の方も脚力ブーストをかけ、更に加速
一瞬で懐に入り―
「食らえぇぇぇぇ!!」
槍による正面からの一撃
HPを無くした純蜘蛛型を突き抜けていった
「後は…!」
シモンが天井方向に雄型を蹴り地に向かう
視線の先には―私達
「良いぜやってやるよ」
その意を察したらしいケンタが私とエリーを一瞥―私達も意を決し敵へ向かう
私は跳躍、ケンタは雌型へ駆ける
私の目の前で自由落下する雄型は無防備で、流石に私でも楽に狙えた
腕力ブーストと武器スキルを併用、斜めから雄型の身体を斬り―今度は地に落とす
「はああぁぁぁ!!」
地面に派手に落着―更に上から深く剣を刺し、雄型のHPをゼロとした
同じくケンタ―
自身の斧を雌型の蜘蛛部分に突き刺し、振り回す
「エリー…持ってけぇ!!」
そのままエリーの方へ投げた
当然その先にはエリーがいる訳で―
「………」
無言のまま放たれた矢が雌型を貫き、砕き散らせた