第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"
数日後―
第六層の環境に漸く私の気分が慣れを見せた頃、ボス部屋が発見されたらしい
一体誰が発見したのだろうか
(ネリー本人ってのも有り得る、か…)
先の層でネリーと関わった故、彼女の行動を何となく推測してしまう
残り少ない情報と目の前に広がるデータを比べている内にボス部屋を発見…というのもありそうだ
もしかしたら今までの何処かの層で、そんな事もあったかもしれない
尤もこれはただの推測、あまり意味は無い
私達の眼前に広がるのは彼女の持つ残り少ない情報もそうだが、それ以上に命に関わる脅威が待っている
そこへ意識を持っていかねば、例え動きは問題無くとも何処かで私か誰かを殺す羽目になる
だから今は気にしないでおく
そう思いながら、六度目となる会議に顔を出しに行くのであった
今回陣頭指揮を取るのはセガールらしく、彼が全員の前に立ちネリーからの情報を説明している
今回のボス、名をグリムアイズと言うそれは直立二足歩行の青い山羊のような見た目らしい
見た目はともかく、巨大な身体に見合った両手剣を片手で軽々操り、高い攻撃力と状態異常攻撃で私達を追い詰めるスタイルである
また、使われる状態異常は攻撃、防御能力低下と欠損状態であると説明があった
そして最後には相変わらずの「本情報は試作版準拠ですよ」文
それ自体は変わっていないが、今回は更に追加がなされていた
それは―「以降は試作版未プレイの領域である故、情報無し。本情報が最後となるが悪しからず。何故このタイミングで公表したかは、単に私の気まぐれである、悪しからず」―であった