第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"
少しもしない内に、正面―空中に影
こちらに向かっている
いや…突っ込んで来る
全部隊を縦に割る先制を横に転がって回避
なるほど、巨体を活かした体当たりという訳か
私達の後ろへ行ったボスは旋回、そのままいつかのボスのように後ろから相手をするかと思ったがそうでもなかった
改めて正面に回り、尻尾…はないがそれに相当する部分で器用に地面に立ち上体を上げる
腹に相当する部分には小さく蠢く足の骨が幾つもあり、そしてその上に…赤い玉
アレにダメージを与えられれば…戦いが大きく楽になる
陣頭指揮に当たっているシモンも経験からそれを理解しているらしく、積極的に玉を狙わせた
ボスの方もまだ鞭は使っておらず、海老にしてはデフォルメされた身体を振り回して攻撃している
時折、飛び上がりまたも突進を仕掛けて来る為その度に横に避けなくてはならないが何故かボスは律儀に初期位置に戻るので、順序が狂うとかそういう事もなかった
案外阿呆なのかも…とAIに対して感じるくらいであった
その後暫くして、ボスは鞭を使いだした
紫色の光がどうやって型どられているかとか、私には説明不可能な現象で構成された光の鞭
そもそも鞭の特性上、速く勢いのある攻撃ではあるものの武器による弾きが効くので、使われ始めはともかく、徐々に見切りを出来るようになり、それ程の驚異とはなり得なかった