第3章 --お仕事一日目
白「雛~、おまた、せ…って、どうかしたの?」
『いやいやいやいや!な、何もない!何もない!!』
白「そ?なら、それで吸ってみてよ~!」
『あ!そうだった!!…あ。』
鬼「これですね。」
『ありがとうございます。』
鬼「いえいえ。」
『…?あの?』
鬼「どうかしました?」
『くれるんじゃないんですか?』
鬼「そうですね。…名前を呼んでいただければ、すぐに渡します…」
くそ、出来るだけ呼ばずに過ごそうと思ってたのに…。こんなところに罠が…。
『ほ、鬼灯…。』
鬼「はい、どうぞ。ついでに、これも持ってきました。」
『これは…?』
鬼「昨日、貴女が吸ったやつですよ。」
『あ、ありがとうごz…』
鬼「私のやつで、ね。」
『はい…』
白「え!?雛!?どうゆうこと!!?」
『いや、別n…』
鬼「昨日、【私の】煙管で、【私が】吸った後すぐに吸ったんですよ。」
『そうでしたn…』
白「なんだそれ!どうせお前が誘導したんだろ!?」
鬼「いいえ。違います。彼女がいいと言いました。」
白「お前の頭の中だけで、勝手に言ってただけじゃないの!?」
鬼「何を言っているんです!私は彼女にきちんと説明しましたよ!」
もう知らん。勝手にやっとけ。あたしは煙タイムだ。
香「始まっちゃったわねぇ…。」
『あ、お香さん。火、持ってませんか?』
香「一緒に持ってきたわ。これ使ってね。」
『ありがとうございます!』
ふー…。やっぱ、この時が一番落ち着くかも…。
しかも目の前では、リアル喧嘩。いつもいつもしょーもないことで言い合いしてる。でもこれを見てるの好きなんだよなぁ。
煙を吐き出しながら、二人の言い合いを画面を見るように耳だけで聞く。こっちに来てから、初めての至福の時かも…。
あんなに遠かったはずなのに…。何が起きてこうなってしまったんだろう。別に心残りなどないし、戻りたいなんて思ってもいないが…いつかは、戻らなければいけないんだと思う。彼らは、きちんと彼らの世界で生きている。あたしは、自分の世界から逃げ出した臆病者。本当は、彼らに声をかけてもらえるような存在じゃないのに。
余計なことばかり考えちゃったな…
目の前にいるはずなのに。手を伸ばせば届く距離なのに…。どうしてあたしはこんなにも寂しいの…?