第3章 --お仕事一日目
鬼「これです。」
『え?』
鬼「貴女には、これが似合いますよ。」
『いや、あの、鬼灯さま?』
白「何勝手に選んでんだよ!」
鬼「私の選んだものは、気に入りませんか?」
『そ、そんなことは…』
白「おい!僕のこと無視すんな!」
白澤に買ってもらうのに、鬼灯さまに選んでもらうなんて…死あるのみ!!
香「そ、そうね!それ可愛い!雛ちゃんにピッタリじゃないかしら?」
『え!本当ですか!!』
香「今日着てた着物にも合いそうよ?」
『白澤!あれがいい!!』
白「…雛がいいなら僕はいいけど…」
『うん!!!』
白「なんか、納得いかないけど。雛も気に入ってるなら…。」
『ありがとう白澤!!』
あたしの頭をなでなでした白澤は、お香さんと金額の話をする。あたしは、鬼灯さまの手から煙管をもらおうと手を伸ばす。が、フイッとその手が左に動かされ、触れず。だが、諦めずにそれを手で追う。今度は上に上げられ届かず。ぴょんぴょん飛んでみるが、かすりもしない。
『意地悪しないでください。』
鬼「いえ。このまま渡すのもアレかと思いまして。」
『アレって、なん、です、かっ!』
話してる間も、届かないか飛んでみるが…だめだ。無理。物理的に不可能。
『あたし、吸いたいんですけど!!』
鬼「早くしないと大変ですねぇ。」
『困ってるんですけど!』
鬼「そうですね。」
本当になんなの!?お香さんのオススメなんだぞ!早く触りたいし、じっくり見たいのに!
『鬼灯さま、渡して下さい。』
鬼「いいですが、タダというわけにはいきません。」
『んなっ!?』
鬼「私に、お願い、するんですよね?」
当たり前じゃないですか。なんて続きそうな鬼灯さまの顔に、あたしは血の気が引いた…。
白澤のお願いなんて、だいたい想像はつくけど。それでも、あのお願いはびっくりしたが。鬼灯さまからのお願いなんて、まったく想像つかない…。あたし、何させられるんだろう…。
鬼「どうしますか?」
『え、あの…えーと。』
鬼「アレとは約束出来て、まさか私とは『出来ない』なんておっしゃいませんよね?」
『ひぃっ!!も、もちろんです!!』
鬼「素直でよろしい。」
満足げな鬼灯様から、死の宣告を受けました…。あと何分ほど生きいられるだろうか。
逆らえるわけない…。鬼灯さまには。