第3章 --お仕事一日目
『お金もってない。』
白「買ってあげるってば。」
『エンリョシマス。』
白「なんで?」
『うーん。あたしの身体の危機?』
白「こんなことくらいで強制するわけないじゃん!僕のことなんだと思ってるの!」
『性欲を貪る淫獣?』
白「アイツみたいなこと言わないでよ…。」
『だって。』
白「僕はもう、君以外に触れない。」
『え?』
白「僕は君だけ、雛だけだから。」
『何言ってるんですか?』
白「敬語は、だいぶ頑張らないといけないみたいだねぇ。」
ケラケラと笑う白澤。からかってるんだろうけど…もうほんと疲れる。言われてなれてない言葉をこうも次々と…。
『もういいです。』
白「ほらまたー。」
『もういいっつーの!』
白「怒った…?」
『いや、怒ってないけど。』
白「すぐ来るから、ちょっと待っててねー。」
そういって、また定位置、つまり膝枕の位置に戻ってくる。なんとなく、よしよしとしてしまう。何のサガだよ、ちくしょー。
そうしてすぐに、襖の向こうから声がかかる。
香「よろしいでしょうか。」
あれ、今の、お香さんじゃね!?やばいやばい!もしかして、怒られるんじゃ!?
そんなあたしの動転ぶりも無視して、白澤はお香さんに声をかける。
白「いいよー、とゆうかお香ちゃんが来るとはね。」
『(やっぱり!!)』
あたしは、頭の血が一気に下がる、様な気がしたが、次の瞬間、襖がスパーンとあいて、それどころじゃなかった。
鬼「お邪魔します。」
白「なんでお前が…。」
香「た、頼まれていたものはちゃんと持ってきてあるから!」
そう言ったお香さんの言葉は、白澤に届かなかった。鬼灯さまとの喧嘩に忙しくて。困惑顔のお香さんに、あたしはすぐさま謝った。
『お、お香さん、ごめんなさい…。』
香「あら?どうして謝るの?」
『言いつけられていた仕事、ちゃんと出来なかったので。』
香「あ、もしかして、ココがどこだかわかってないのかしら?」
『へ?』
香「ココは、雛ちゃんが着替えた妓楼の一部屋よ。だから、なんの問題ないわ。」
『そう、だったんですか…。』
香「うふふ。きっと、白澤様はわかってらしたんじゃないかしら?」
そこまでわかっていたのなら、本当に神様ってすごい。
あんな子供みたいな喧嘩してる人からは、全く想像できないけど…。