第3章 --お仕事一日目
白「落ち着いた?」
散々泣いているあたしを抱きしめながら、ずっと頭を撫でてくれた。背中を、子供をあやすようにトントンとしてくれて…。それを合図に、だいぶ落ち着いたあたしは、白澤をそっと離し、ぎこちなく笑った。
『うん、ごめんなさい…。』
白「それは違うよ。」
『違う?』
白「『ごめん』じゃなくて?」
『ふふ、ありがとう。白澤。』
白「せーかい♪」
白澤は、やっぱり神様なんだなぁ。とか当たり前だけど思った。アニメを見ていた頃の、バカだと思ってた気持ちがドデカすぎて…。
『あ、そういえば、今何時ですか?』
白「んー、何時だろうね。」
『え。時計とか持ってないんですか…?』
白「そうゆうの気にすると思う?僕が。」
『あー…しなさそうですよね、そういえば。』
白「ってゆうか、敬語に戻ってるよ。雛。」
『ご、ごめん、やっぱりなれなくて。』
白「頑張って!」
『頑張るとこなんですか…あ。』
白「そうみたいだよ?雛にとっては、だけどね。」
『余裕そうにしやがって。くそっ。』
白「…女の子にあるまじきセリフだね。」
にこにこ笑顔だったのが、一瞬固まったけど無視だ無視!こんな風に話すのはやっぱり気が引ける。
そんな事よりも時間だ。24時まで、と聞いたけど、その間に休憩ももらえるはずだ。ひとしきり泣いたし、煙が吸いたい。落ち着くにはそれが一番だ。
『あ。白澤って煙吸う?』
白「どうゆうこと?」
『煙草。煙。喫煙。煙管!』
白「えぇ!?雛ちゃんってばその顔で喫煙者!?」
『…顔は関係ないってーの。』
白「うーん、女の子は吸わない方がいいんだよ?」
『いや、無理。ストレス社会を生きていくには必要。』
白「なら、買ってあげようか?」
『はぁ!?何言ってんスか?ここどこなんスか!?』
白「ここでも買えるのー。」
『はい!?』
この人何言ってんだ、とか思ってたら、お店の人を呼ぶ。聞き取れなかったけど、白澤がなんか言ったら、お店の人があたしを見て、難しい顔してから「…かしこまりました。」と出て行った。
なんかよくわからんが、これっていいのか?いや、良くない。どれくらいの値段がどんなものかわからんが、マズい気がする……
こんなところで貞操の危機!?いや、生娘でもなんでもないが…。