第3章 --お仕事一日目
「白澤様だわ!!」
「あたしのところに来て下さったのよねー?」
「違いますわ!わたくしのところですわよ!」
「白澤様ぁー!お会いしたかったですぅー!」
キラキラしたお姉さまたちが白澤様を見つけてキャーキャー騒ぐ。その声が聞こえた瞬間、あたしに伸ばしていた手を下げ、お姉さんたちの方へ歩いていく。
白「みんな、今日も綺麗だね。」
そうりゃそうだよ。あたしは、昨日会ったばっかりで、珍しいってだけ。白澤様のお相手はいつもいっぱいいる。
いやいや!何考えてるの!仕事仕事!
集中しようとしても、甲高い声が耳障り。何を楽しそうにそんなに話すことがあるんだ。どうでもいいから、さっさと目の前から消えてくれ。そう思っていたら、お姉さんに目をつけられた…。
「何この子。目つき悪ーい。可愛くなーい。」
「あんな媚びた格好、笑っちゃいますわ。」
「そんな貧相な体、誰も見たくないよー?」
「あんな子が見えるとこに居たら、貧相なのがうつる!とか?」
「あははっ!そうね、その通りだわ!」
女なんて、あんなものだ。もともとの世界でもそう。いつも嫌われた。男の子と遊ぶようになって、それでエスカレートもした。忘れてた…鬼灯さまも白澤様もモテるんだった。そうゆう男とはいつも一線引いて、あまりかかわらないようにしてきていたのに。あまりにも憧れていた人達だったから、ついそばで甘えてしまった。
だめだ。このままじゃ、いろんな人に迷惑をかける。そう思い立ち上がろうとした。
白「そう?僕は可愛いと思うよ?」
「「えぇ!!?」」
お姉さんたちは、白澤様の腕を放し、驚いた顔で見上げた。
あたしも、同じ顔をしていたと思うけど。
白「彼女は、僕にとっての特別だから。」
そう笑顔で言った白澤様は、あたしの手を取り、「雛、行くよ。」と耳打ちした。なんつーエロ声。小声って、まぢエロい。名前なんて、もっとエロい。
って、そんなこと言ってる場合じゃなかった…。
スッと立ち上がると、あたしの肩を抱き、
白「この子傷つけたら、許さないからね?」
と、低い声で牽制してくれた。でも、こうゆうのは、逆効果だったりするんだが…。
そのまま、あたしの腰に手を回し、エスコートしてくれた。
だめだ。流されてる…。