第3章 --お仕事一日目
『本当にこれでいいのかなぁ…。』
あたしは、呼び込みと言われていたはずだが…。着替えの時に手伝ってくれたお姉さんたちは、むしろ話すなと言われた。あたしが何をしているのか、サッパリわからない…。あ、こうゆう時にだけ出てくる妖精がいたなぁ。なんてぼーっと考える。
通り過ぎる人で…。
男の人がじっと見てきたら、ニコッと、顔だけで微笑む。
女の人がこちらを見て、キャーキャー言ったら、手を振る。
あたしに課せられた仕事内容は、この二つだった。
檎ちゃんの代わりだろうな、なんてわかってるあたしは、やっぱり鬼徹ファンだなーとしみじみ思う。でも、檎ちゃんにも会いたかったな、なんて。ここに一人で座ってるだけなのは、やっぱり寂しい…。誰か通りかかってくれたりしないだろうか…。
この時のあたしは、一人でニコニコしているだけってことが退屈で、まだ何もわかっていなかった。
?「見つけた!」
『?』
聞き覚えのある声が聞こえたような…?目だけで探してみるも見つからない。あれ?あたしじゃなかったのかな。
白「雛ちゃーーーーーん!」
『(白澤様だったのか)ニッコリ』
今は就業中。それも、お香さんに助けてもらった上の、だ。どんなことがあっても、さっきの二つを守ろう、と決めていたためニッコリ笑顔で返す。
白「え?あれ?雛ちゃんだよね?」
『ニッコリ』
白「こんな格好してどうしたの?」
『ニッコリ』
白「もしかして、…待ってる?」
『ニッコ…?』
どんどんと近づいてくる笑顔の白澤様…。身の危険を感じる!!なんかヤバいぞ!
白「この恰好も似合ってる。すごく綺麗だよ。」
『(ぎゃー!勝手にスイッチ入ったー!)』
白「雛ちゃんの声が聞けないのは残念だけど、すごく可愛い。」
そう言いながら、あたしの肩に触れようとする。逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい!けど、お香さんの顔に泥を塗るわけにはいかない!!その間にも、どんどん迫ってくる白澤様の手。
あたしは、花魁のような格好をさせてもらっていて、肩は丸出し。貧乳も隠して着付けてくれた。憧れの格好だったから嬉しかったけど、今はピンチ!このままだと、素肌を触られる!!!
なんで今日は、こんなに白澤様に会うの!!?