第8章 episode 7【ジル】〜嫉妬〜
ルリーはバスタブに浸かり、芯まで冷えてしまった身体を温めながら、今日起きた出来事を思い出していた。
(アランはどうしてあんなこと……)
考えただけで、また顔から火が出そうな感覚に襲われる。
ルリーは顔にバシャバシャとお湯を掛けた。
その時………
「あまりバスタブで暴れないでください」
いきなり背後から声を掛けられ、ビクッ、と身体を浮かせた。
「どうしましたか、プリンセス」
後ろから聞こえる、静かな声の主を恐る恐る確かめる。
「っ……ジルッ…!」
「はい」
思った通りの人が、こちらを見て微笑んでいた。
「な、なぜジルがここにいるの?」
ルリーは戸惑いを隠せず、慌ててジルに問いかける。