第8章 episode 7【ジル】〜嫉妬〜
ルリーはアランに手を引かれて、自室へ戻ってきていた。
「風邪引く前に、早く着替えろよ」
アランはそれだけ告げると、部屋を出ようとした。
「あっ……待って!」
ルリーは思わず呼び止めてしまったが、その後自分でもどうしたら良いか解らず、俯いた。
(アランの顔、まともに見れないよ……)
馬小屋での感触が蘇り、顔から火が出そうな程の恥ずかしさがルリーを支配する。
「……今日のレッスン忘れんなよ」
アランは、俯いたルリーの頭をぽん、と叩くと、そう囁いて部屋を後にした。
部屋に残されたルリーは暫らくドアを見つめていたが、身体の冷たさを思い出し、バスルームへと入っていった。