第8章 episode 7【ジル】〜嫉妬〜
また一人になった部屋は、先ほどよりもやけに雨音が響いてくる。
ジルは立ち上がり、窓の外に目を向ける。
その瞳に映る雨粒は大きく、激しい。
その時だった。
ジルの目下に飛び込んできたのは、馬小屋から出てきた二人……
あれはルリーとアラン。
ジルは、濡れた姿のままアランに手を引かれ顔を上気させているルリーに、目を奪われた。
何故かジルの中にどす黒い感情が溢れ出す。
何故、ルリーは濡れているのか。
何故、アランに手を引かれているのか。
何故…あんなにも頬を染めているのか……
気づくとジルは執務室を出て、廊下を歩いていた。