第21章 episode 16-3【アランEND】〜守りしもの〜
ルリーに用意されていたのはとても豪華で煌びやかなドレスだった。
「すごい……綺麗…」
思わず口に出してしまうほど素敵なドレスを身に纏う。
こんな素敵なドレスでアランと踊れたら、どれ程幸せだろう。
そんな事を考えて、また少し切なくなった。
「美しいな」
急に後ろから声を掛けられ、ビクっ、と肩を震わせた。
「すまない、驚かせてしまった」
ゼノはそう言うと、ルリーの前まで歩み寄った。
「ゼノ様……」
「そのドレスを贈らせてもらった」
「ありがとうございます、とても素敵です」
「ああ、良く似合っている」
ルリーは恥ずかしくなり、俯いた。
「どうした」
「いえ……」
すると、徐にくい、と顎を掬われた。
「プリンセスは堂々としていればいい」
「は、はい」
強制的に向けられた眼差しに、吸い込まれそうになる。
そんな錯覚を覚える程、国王ゼノという男にはカリスマがあった。
「では、プリンセス。舞踏会楽しみにしている」
「はい……」
そう告げるとゼノは部屋から去っていった。