第21章 episode 16-3【アランEND】〜守りしもの〜
シュタインの滞在期間もあと僅かになったある日、ルリーとアランはアルバートからあるスケジュールを聞いていた。
「舞踏会……ですか?」
「はい、暫くの間シュタインで舞踏会は開かれていなかったのですが、ウィスタリアのプリンセスが滞在されているのですから、是非ゼノ様と踊って頂こうという貴族達からの提案で」
「その間、アラン殿にはプリンセスの警護をお願いしたいのですが」
「ああ、勿論だ」
ルリーはちらっ、とアランを見たが、特に反対する訳でもなくアルバートと話をしている。
そんなアランをみて胸が張り裂けそうになった。
(私がアランを好きになれば、アランは騎士を辞めなければならなくなる……)
騎士の仕事に誇りを持っているアラン、そんなアランを想っているのに、自分のためにその誇りを捨ててほしいなど言える訳がなかった。
「ではプリンセスには衣装合わせをしてもらいますので、あちらへ」
メイドに連れられ、その場を後にする。
もう一度アランを見たけれど、アランは気づくことはなかった。