第20章 episode 16-2【アランEND】〜守りしもの〜
どのくらい森の奥まで走っただろうか。
「……はぁ……はぁ……はぁ、アラン……もう私…」
「……大丈夫か?」
「うん……」
アランは周囲を見渡しながら、ルリーを気遣った。
「どうやら追っ手は来ていないようだな」
「一体……何が起きたの?」
まだ肩で息をしているルリーは、途切れ途切れにアランに状況を聞いた。
シュタインへの国境にあと僅かな峠に差し掛かった時、いきなり馬車の目の前に岩が落ち道を塞がれてしまい、そのうち周囲を武器を持った男たちに囲まれてしまったらしい。
アランからは、応戦しつつも的確に騎士達に指示を与えた後、ルリーを馬車から逃がした、という事が語られた。
「残った人達は……大丈夫なのかな…」
ルリーは青ざめながらアランに問いかけた。
するとアランは、ふっと表情を和らげ、
「ばーか、そんな心配すんじゃねーよ、俺の騎士団があんな奴らに負ける訳ないだろ」
「……大丈夫、あいつらを信じろ」
そして真面目にそう、呟いた。