第20章 episode 16-2【アランEND】〜守りしもの〜
ルリーはシュタインへと向かう馬車に揺られていた。
窓の外には馬に跨った護衛の騎士達が見える。
(……アラン…久しぶりに見れた…)
自分から避けていた筈なのに、久しぶりに見た凛々しい顔に思わず胸がときめいた。
ー“俺はルリーとは一緒にシュタインには行かない”ー
未だこの言葉の呪縛から抜け出せない。
どうしてアランはこんな事を言ったのか……
では何故今一緒に来ているのか……
(……もう私のことを護ってくれないのかな…)
そんな事をぼんやり考えていると、急に馬車が止まった。
「え……?何…?」
シュタインへはまだ遠く、国境すら越えていない。
(なんだろう……少し怖いな…)
外の状況を知りたくて、ルリーが馬車から降りようとした瞬間、勢いよく馬車の扉が開いた。
「はぁ…はぁ……大丈夫か?ルリー!」
そこには珍しく息を切らしたアランの姿があった。
「ア、アラン!一体どうしたの?!」
「その話は後だ!今はこの場から離れる」
アランは、そう言うといきなりルリーの腕を掴むと、
「行くぞ、こっちだ」
二人はそのまま森の中へと走り出した。