第20章 episode 16-2【アランEND】〜守りしもの〜
数日後、正式に騎士団長のアランにシュタインとの交換視察の要請が下りた。
2週間程度の日程で、シュタインの寄宿舎への滞在、訓練への参加、そして……プリンセスルリーと国王ゼノの対談の護衛。
結局、プリンセスも同行し2週間シュタインへ来賓として招かれる事になった。
出発の朝、ルリーはいつものように朝食を取りながら、ジルからスケジュールを聞いていた。
「……ということで、本日はシュタインへの出発の日です。私は今回同行できませんが、騎士団長のアラン殿が同行致しますので、安心してゼノ様との会談に臨まれてください」
「……わかりました」
ルリーは口では答えられたが、心はまだ靄がかかったまま晴れることはなかった。
(あれから、アランと会わないようにしてた……。久しぶりに会えるけど……不安でたまらない)
そんな表情のルリーを見つめ、ジルは小さなため息を零して口を開いた。
「プリンセス、あなたは一体何のためにシュタインへ行くと仰ったのですか」
いきなりの質問にルリーは、はっ、と顔を上げてジルを見た。
「ここ最近の行動で、あなたが何を思っているのかおおよその見当は付いています」
「あなたには、しなければいけない事があるのではないのですか?」
ジルはいつになく優しく微笑んで、そうルリーに告げた。