第16章 episode 14【シド】〜出会い〜
「や、離して下さい!」
ルリーはビク…っと肩を震わせながら、一生懸命声を絞り出した。
「嫌がる女をモノにするのが、おもしれぇんだろーが」
シドは、ルリーの反応を楽しんでいる様だった。
(一体この人はなんなの……?!)
ルリーは困惑しつつも、シドの目的が何なのか探ることにした。
この数ヶ月間で、ルリーも大分プリンセスとしての逞しさを身につけてきている。
(……焦らずに……落ち着いて…)
ルリーは短く息を吐くと、シドに凛とした態度で問いかけた。
「……もう一度お聞きします、プリンセスの私に何か御用なのですか?」
すると、シドの手首を掴む力が少し緩んだ。
シドは、じ…っとルリーを見下ろしながら、ふ…っと意味深に笑うと手を離した。