第16章 episode 14【シド】〜出会い〜
「……っ…!誰っ」
そこには見知らぬ男がドアにもたれ掛かり、此方を楽しそうに見ていた。
「あ?俺はシド。これから愉しませてくれよ?プリンセス」
口元を妖しく綻ばせ、シドと名乗る男はゆっくりと此方へ歩き出した。
「私に何か用ですか?」
ドキンドキン、と煩い心臓に手を当てながら、なるべく悟られない様に、ルリーは慎重にシドに問いかけた。
「へぇ……中々肝が座ってるじゃねぇか」
「見知らぬ男にいきなり部屋に入られて悲鳴の一つも上げないとはな」
シドは新しいおもちゃを見つけたとばかりにルリーに近寄り、いきなり手首を掴んだ。