第6章 まさかの桂無双[R18]
「なんじゃ、おんしら楽しそうにやっとるのう」
わしを仲間外れにしてくれるなよ。
そんな台詞を言いながらバスルームに入って来たのは金持ちモジャ頭、坂本辰馬だった。
坂本さんは腰にタオルを巻いた状態で早速シャワーを浴びている。
「……また面倒臭ェのが増えやがった」
モジャ公が遠慮なしにシャワーをぶり撒くもんだから、銀さんは忽ちずぶ濡れになった。
トレードマークの天パが水分を吸ってへたれている。
「あ〜気持ちええのう!色んな液体で身体がベトベトだったんじゃ、アハハハハ」
シャンプーハットを被って笑っている坂本さん。銀さんに抱き付いて離れない桂さん。私を抱いたまま爆笑してる高杉さん。
一同をグルリと見渡して銀さんが言う。
「はー…相も変わらず馬鹿ばっかかよ……とんだ同窓会だぜ」
いつまで風呂に浸かってやがんだ、とっとと飲み直すぞオメーら。
額に張り付いた銀髪を後ろに掻き上げながら放ったその台詞。その仕草。
口元にほんの少しだけ浮かんだ笑みに心ときめいたのは桂さんだけではない。
「金時の一言でこうも場が締まるとは…さすが主人公じゃな。つーかその笑顔に1000点」
「あァ、俺も同感だぜ。不覚にもな……ククッ」
『桂さん、大丈夫ですか。桂さん』
「ぎ……っぎん…素敵……好き…っ‼︎」
『銀八先生、ご臨終です』
「誰が先生だ、誰が。妙なタイミングでスピンオフネタ持ってくるんじゃねェよ」
今や満員状態のバスルーム。
割れた硝子戸から漏れるのは立ち込める湯気に溶けた笑い声。
てんやわんやのプチ家出、ここに終結。
第6章[まさかの桂無双]完