第5章 王様と私[R18]
半ばやけくそ状態の坂本さんは“ジン”と書かれた酒瓶を煽った。
高杉さんの時と同じく異国の酒だ。
気合いを入れる前に必要な儀式なんだろうか。
「…よし、ヤるぞ」
ミシッと音がするくらい強く桂さんの肩を掴むモジャ頭。
「仕方が無い。そのモジャ頭を銀時だと思って我慢してやる」
何分も前からスタンばってたロン毛は偉そうに腕組みしている。
さっきから爆弾発言を小挟みにしているが…聞いて聞かぬ振りをしておこう。
「じゃあ、お前ら…楽しませてくれよ。ククッ」
ソファに戻って来た高杉さんは再び私の肩を抱き寄せると、美しい装飾の施されたグラス片手に足を組んだ。
その姿はもはや王様ではなくギャングのボスに近い。
「貴女、お前も楽しみな」
『…はい』
王様に差し出された異国の酒。
恐る恐る口を付けた私は、舌が痺れるのを感じていた。