第3章 三日月。
遊園地から出ると、
私と黒子くんは無言で帰路へついた。
何か言いたくても、
何も言えなくて…
ただただ沈黙の中、
私達は歩いた。
でも、家についてしまえば、
それがもう最後のような気がして、
少しだけゆっくり歩いてみたけど・・・
あっという間に家についてしまった。
「…送ってくれてありがとう。」
「はい。」
「…ばいばい。」
「…はい。」
私が手を振ると、
彼は会釈をし、
すぐに後ろを向いて歩き出した。
気がつけば彼の背中はどんどんと
小さくなっていった。
もう、きっとコレで最後。
そう思うと、居ても立っても居られなくて…
私は走り出した。
冷たい風が私の頬を撫でた。
「黒子くんっ!!!!!!」
私が叫んだ。
「…!!」
黒子くんは驚いたように振り返った。
その目は赤くて、
月明かりに照らされた彼の目からは
涙が落ちていた。