第9章 ~姉と兄~
「毛利・・・解ってて、何故やらなかった?」
「今の状況を見ても、まだ解らぬか?」
「・・・はっ?」
元親は、小十郎の行動を理解しても、元就の行動には、全く理解して居なかった。
其に元就は溜め息を吐き、呆れながら説明した。
「伊達には恋人が居る事は知ってるな?」
「ん?あぁ、知ってる。」
「其が奴だ。」
「・・・はい?」
「もし仮に、長曽我部が奴と同じ事をしたとする。そんな時、伊達の恋人が帰って来たらどうなる?」
「えっと・・・・・・ぶん殴られるな、確実に。」
「其所迄理解出来れば、御主にも理解出来よう。」
「成程、毛利は彼奴に華を持たせた訳打な♪」
元親は、元就の頭脳に、頭を撫でて褒めた。
其に元就は、元親の手を振り払い抵抗した。
「・・・でもよ、何で彼奴が・・・政宗の恋人打って解った?」
「・・・何ぞ、気付かなかったのか?」
「何が?」
「車のエンジン音・・・っと云っても、騒がしくて聴こえ難かったがな。」
「・・・そんなに良かったのな、毛利の聴力。」
「馬鹿にして居るな。」
「褒めてんだよ。」
暫くして、小十郎が政宗の唇から放れた。
どうやら、政宗の呼吸が正常に為った様だ。